植物剪定の基本【苔玉〜盆栽まで共通】

よくいただくご質問で「苔は順調だけど植物がもっさりしてきた」「新しい枝がいっぱい出てきたけどこのままでいいの?」「見た目が変わってしまった」等のお問い合わせをいただきます。決して恥じたりするようなご質問ではありません。なぜならば可愛がっていただいている何よりの証明として、植物がスクスクと育っているからです。ありがとうございます。

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当工房では販売やワークショップでお持ち帰りいただく苔玉に長期保証しているため「簡単な剪定ごっこも楽しめますよ!」とお声がけしております。上記のようなお問い合わせが多くて当然だと思います。長く楽しんで自分好みの枝ぶりを味わうのも醍醐味ですよね。

そこで今回は剪定の基本となるモノをいくつかご紹介します。これだけ押さえておけばあとは「流れ」を作るだけですのでやるべき事がシンプルになると思います。簡単なモノですので是非覚えてみて下さい。


植物の基本剪定「きってよし!」8選

☆きってよし!平行に飛び出した枝
☆きってよし!真下にのびる枝
☆きってよし!流れに逆らう枝
☆きってよし!根元の近い枝
☆きってよし!正面に向かって突き出す枝
☆きってよし!幹を貫通しているかような枝
☆きってよし!XJAPANな枝
☆きってよし!真上に向かって伸びる枝


それではまいります(´・ω・`)





 


剪定(せんてい)の基本


流れを意識して見た目のスッキリさを演出するスペース(空間)づくりを心がけましょう!
 
 



きってよし!平行に飛び出した枝

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主軸となる幹から横に二本以上突き出した枝。見た目がスッキリしませんよね。これは「きってよし!」です。盆栽の世界でも好まれない枝形です。あえて残す型もありますが基本的には切ります。え?イラストが下手ですか?気のせいですし気にしてません(笑)この後も続々と出てきますのでご覚悟ください。 



きってよし!真下にのびる枝

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 地面に向かって真っ直ぐに伸びる枝。「落ち枝」とも言われます。なんとなく縁起も良くない格好をしています。これは不要認定せざるを得ません。「きってよし!」 ちなみに赤線の部分は実際には根本ギリギリまで切ってもよろしいかと。イラストと絵が重なってる…



きってよし!流れに逆らう枝

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植物に悪意はありません。ただこちらとしては逆に流れを作りたい…そんな時は心の中でむせび泣きながら「ごめんね」とつぶやき「きってよし!」 逆さ枝は成長すると必ず他の枝や葉と干渉してしまいます。早めに切っておくと良いでしょう。ただ植物に悪意はないのですが…


きってよし!根元の近い枝

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これもよく見るケースです。「わき枝」と言われるモノです。ポイントで抑えるべき【スッキリとした空間】に不必要な枝です。これも成長した後に他の枝や葉と干渉してしまうため早めにきってしまいたいところです。二重の意味で空間を潰してしまいます。「きってよし!」です。


きってよし!正面に向かって突き出す枝

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盆栽でもそうですが、苔玉でも正面を決めてから制作を始めます。鑑賞時に一番みて欲しい側面が正面となります。全方位型の苔玉もありますが、枝ぶりを楽しむための植物のケースの場合これはかなり意識して枝を落とします。というより見た目が乱れるので違和感がスゴイんですよね。もし、「枝ぶりがよくてもったいない」という時は正面を変えて違う【流れ】を練り直してみましょう。「きってよし!」です。


きってよし!幹を貫通しているかような枝

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これも植物に悪意はありません。(全部のケースで同じ事が言えますが…)幹に対して上下左右に完全対称な枝の流れは基本的に違和感となってしまいます。もしこれを狙うならば逆にアート性が強くなりメッセージがついて作品の意味合いが変わってくると私は考えます。深い意味を持たす植物は別分野かなぁと。それを否定するというよりは【流れ】とは左右非対称が原則と考えますので「きってよし!」です。




きってよし!XJAPANな枝

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植物に特定の音楽を聞かせるとこうなるとか(笑)まあ音楽は関係なくよくでてくるケースです。これも他の枝や葉と干渉するうえに貴重な空間を潰してしまう存在になります。切るか枝の向きをワイヤー等で変える必要があります。この世界に足を踏み入れた頃は「コレはコレで…」とも思ったりしましたが成長した枝を見ると一目瞭然で違和感の対象となる存在である事に気づきました。やはり枝や葉の中に何もない【空間】があるのと無いのとでは完成度にかなり大きな差が生まれてきます。



きってよし!真上に向かって伸びる枝

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イラストだと若干左に流れてしまっていますが地面と垂直に伸びている枝をご想像下さい… 「立ち枝」と言われるものです。今後の展開として上下左右に流れていく可能性はありますが、枝の太さなどから強めの勢いを感じられた場合剪定の対象となります。ただこのパターンは成長した暁には他の枝葉と干渉する可能性が高いのと、違和感を生みやすいので早めに切るのが吉かと。ですので「きってよし!」です。





まとめ

この記事をご覧いただきありがとうございました。この記事にたどり着いた方はきっと植物を愛し「なにかしてあげたい!」「なぜそれをすのか?」と思い探していただいた心優しいお方だと思います。植物は管理が大変だ、などとは考えずポイントだけ押さえて気楽に楽しんでいただく一助となれば幸いです。

今後も困った方や探しものをされている方のお役に立てるような記事を書いていこうと思います。こちらは苔玉の管理方法やQ&Aの過去記事です。↓ご覧になってみてください↓